まずは自治体の無料相談で論点を整理するのがおすすめ
相続に関する悩みは、まず自治体(お住まいの市区町村)が行っている無料相談などを利用して、自分が「何を誰に相談すべきなのか」を整理することをおすすめします。
自治体の相談窓口をまずおすすめする理由
・何から相談すればいいか分からなくても、相談に乗ってくれる
・相談しやすい(いきなり弁護士や税理士に相談はしにくい)
・自治体の相談窓口なので、費用がかからず強引な営業もない
・どこに相談すべきなのか、何が問題なのかの整理ができる
「相続について相談したい」といっても、人によって相談すべき専門家は異なります。
たとえば複雑な相続登記が必要になる場合には「司法書士」が強い味方になってくれますが、経験の浅い行政書士に依頼してしまうと結局は司法書士に依頼することになり、相談料が重複してかかることもあります。

士業のあいだでも「これは司法書士にしかできない」「ここは弁護士にしかできない」など、依頼できる領域が決まっています。もちろん自分ではできない業務はほかの士業に連携してくれることがほとんどですが、余計に費用がかかってしまうことがあるので注意が必要です!
まず自治体の相談窓口で論点を整理しておけば、「この場合は司法書士がいいですよ」「遺産の分け方で紛争になりそうならば弁護士を窓口にするのがいいですよ」という風に、最適な専門家や相談の仕方を教えてもらうことができます。
まずは敷居の低い無料窓口で、ご自身の問題の全体像を把握することから始めることを強くおすすめします。
自治体の相続相談窓口の調べ方
Googleなどで「〇〇(地域名) 相続相談」で調べると、市区町村による法律相談や、そのエリアの行政書士会・弁護士会・司法書士会や関係団体が開催している無料相談イベントが見つかるはずです。
個別の事務所が開催するものではなく、市区町村の役所や公共施設で開催するものが「中立的な無料相談」に該当するためおすすめです。
相続の悩みごとに相談すべき専門家は異なる
相続の「何を相談したいのか」によって、相談すべき専門家は違ってきます。
ここにあとで図解入れます
遺産トラブル・評価額など相続人で揉めそうなら「弁護士」
「遺産の分け方で揉めそう」「土地の評価額で意見が分かれそう」「特定の相続人だけ生前に多額の援助をしてもらっていた」など、遺産分割をめぐる相続人間のトラブルになりそうな場合には、弁護士への相談がおすすめです。
弁護士は「法律の専門家」として、まだ交渉が本格化していない初期の段階であっても、あなたの状況を法律的な視点から整理し、取るべき行動について法的根拠に基づいたアドバイスを提供してくれます。
これにより、他の相続人と交渉する前に、自分の主張が法律的に正しいのかどうかを確認でき、後の無用な争いを避けることができます。
弁護士に相談するのがおすすめなケース
・遺産の分け方で揉めそうなので、どのように遺産分割を進めていけばいいか知りたい
・相続財産の評価額で意見が対立しそうな場合、どうしたらいいかアドバイスが欲しい
・過去の生前贈与や寄与分(介護などへの貢献)が、法的にどのように遺産分割に影響するか確認したい
・特定の相続人が遺産分割協議に全く応じてくれない、または連絡が取れない
・遺留分(最低限もらえる相続財産の割合)を請求したい、または請求されている
・遺言書の内容に納得がいかず、無効を訴えたい

とくに「不動産評価額で揉めそう」「一人だけ生前に贈与を受けていた」「寄与分(介護などへの貢献)を主張したい」「遺言を無効にしたい」「遺産分割に協力的ではない相続人がいる」「使い込みが疑われる」などの場合は、個別の状況を考慮したり、相手方との交渉が必要になったりと、弁護士の力が必要なケースが多いです。
不動産の名義変更や相続放棄の手続きを依頼したいなら「司法書士」
相続財産に不動産が含まれており、その名義変更(登記)や相続放棄が必要な場合は、司法書士に相談することが最適です。
不動産の登記手続きや、相続放棄のための家庭裁判所への申述書作成は司法書士の専門業務であり、確実かつ迅速に手続きを代行してくれるからです。2024年4月から相続登記が義務化されたため、手続きの確実性が非常に重要になっています。
司法書士に相談するのがおすすめなケース
・故人名義の土地や建物といった不動産の名義を相続人に変更したい
・亡くなった方に借金が多いことが分かり、相続自体を一切したくない(相続放棄)
・遺言書検認(家庭裁判所の手続き)など、裁判所へ提出する書類の作成を依頼したい
ただし、「相続放棄すべきか限定承認(遺産の範囲内で借金を清算)すべきか迷っている」など、法的なメリット・デメリットを総合的に判断したいときには、司法書士よりも弁護士に相談がおすすめです。

登記手続きには複雑な添付書類が必要で、書類に不備があると申請が受け付けられず、何度も法務局へ足を運ぶことになります。司法書士に依頼すれば手間やミスなく完了できるのがメリットです。また、戸籍の収集や相続関係図も依頼できます。
相続放棄の場合、「相続開始があったことを知った日から3カ月以内」という厳格な期限があり、やり直しもできないことから、この場合も司法書士に依頼するのが確実でおすすめです。
相続税を正確に計算・申告したいなら「税理士」
相続の「税金」について悩んでいるという方が相談すべきは、税金計算のプロである税理士が相談先としてベストです。「亡くなった方の財産が多い」「相続税が発生しそう」という場合です。
相続税が発生するかどうかの簡単な判断基準
・ 故人の財産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除額を超える場合は、相続税が発生します。

・ただし、基礎控除額を超える場合でも「税額控除」を適用して相続税を低くできる場合があります(たとえば配偶者の場合は、最大1.6億円が無税に)
基礎控除額に収まる場合は良いのですが、「相続税が発生する」という場合には、「自分で計算しよう」と思わないほうが良いです。なぜならば、不動産などの財産の評価額の計算や、どの税額控除が適用できるかの判断などが、素人には難解すぎるからです。

とくに不動産・非上場株式がある場合や、生前贈与がある場合、特例を利用する場合などは、専門家に依頼しておいたほうが後々困らず安心です。税務調査に入られたことを想像すると、面倒は避けたいです。
書類収集・作成の手間を減らしたいなら「行政書士」
法的な検討や不動産登記などが必要ない場合で、戸籍の収集や遺産分割協議書などの作成、行政手続きの代行だけを依頼したい場合は、行政書士が相談先として向いています。
また、建設業許可の承継や自動車の名義変更がある場合には、行政書士がこの分野のプロに当たるので、行政書士に依頼がおすすめです。
行政書士に依頼するのがおすすめのケース
・法的に正しい「遺産分割協議書」を作成してほしい
・自動車の所有権移転登録(名義変更)など運輸支局への手続きを依頼したい
・建設業許可など、事業に関する許認可の承継手続きを依頼したい
行政書士は役所や官公署へ提出する書類の作成を専門としており、遺産分割協議書などの作成を依頼することで、ご自身で煩雑な書類作成を行う手間と、戸籍収集の作業を大幅に削減できます。
弁護士や司法書士に依頼するよりも費用を抑えられることも多く、正確な書類作成をプロに任せたい場合に有効です。

遺産分割トラブルや不動産登記がない場合で、相続の手続きを任せる専門家を探している場合に、行政書士がおすすめです。


